お薬 Q&A

💊パーキンソン病のお薬についてのお役立ち『一口メモ』!💊

10人のPD患者がいれば、10通りの症状がある!と言われるほど同じパーキンソン病なのにツラい症状や合う薬、合わない薬も違います。なので、病気のことを患者仲間と話していても、皆が『あの薬は良いよね~』という結論にはたどり着きません。また、診察時間も短いため、主治医にもなかなか思うことが伝わらないことってありませんか?

そんな疑問や悩みを解決するキッカケになってくれたらと思います。一口メモで始まりますが、皆さんの「Question」でこのページは成長していきます。回答は元神戸薬科大学学長・名誉教授の北河氏が回答いたします。
質問は「あなたの声」「E-mail」からどうぞ!質問お待ちしております

№1) 2021.07.17
もし、全身作用型のテープ剤が剥がれてしまった場合は、どう対応すればよいのでしょう?

湿気の多い季節全身性のテープ剤がはがれやすくなります。でも総合病院は主治医とすぐ連絡が取れないですよね💦どうすれば良いの?

まず結論から『テープ剤が剥がれたことに気づいたら、直ぐに新しいテープ剤を貼ってください!』

解説:全身作用型のテープ剤としてパーキンソン病の治療に使われているのは、ニュープロⓇパッチとハルロピⓇテープ。長時間、血中濃度が一定に維持されるため、作用が一定レベルで維持される、副作用も一定レベルで抑制できる、吸収が食事の影響を受けない、薬の使用状況が確認しやすい、など長所が多いですね。

一般に、●●パッチは、海外からの導入品、◆◆テープは、日本で開発された製剤に命名されているようです。

★なぜ新しいテープを貼り直した方が良いのか!
多くのテープ剤は,貼付後しばらくすると、循環血中に移行した主薬は作用部位(パーキンソン病治療薬の場合は脳)へ移行し、作用発現します。
テープ剤の場合、剥がれると血中濃度が低下し,作用が減弱するのも待ったなし!すぐに新しいテープ剤を貼り直す必要があります。

★次のテープの貼り替え時間は?
貼り直したテープ剤については貼付時間が短くなりますが,入浴後等のいつもの貼り換えの時刻に新しいものに貼り換えるのが混乱を避けるうえで良いと思います。

★剥がれにくくする工夫をしましょう!
ネット包帯やサポーターによって、剥がれを防御することも可能です。

★剥がし忘れに注意!
ニュープロパッチで約50%、ハルロピテープでは約70%が残存しています。剥がし忘れるとテープ剤から循環血中への移行が続き、主薬の過量投与となる可能性が!
新しいテープ剤の貼付の際には、古いテープ剤を剥がしたことも確認するチェックリストを作成するなど十分注意する必要がありますね

2) 2021.07.19
ここ数年の自然災害は非常に規模も大きく、長期化する傾向がみられます!薬が無ければ動くことすらできない私たち。心構えは?

まず結論から『貼り薬は剥がれる危険性が、飲み薬は外出先で落とすことも、災害に遭ってしまったらなどを想定して、最低でも1週間、理想は2週間分の薬の備蓄をしておきましょう!』

№1)でも“新しいテープ剤に貼りかえる”わけですから、一枚も予備が無ければ次の診察までに薬が足りなくなってしまいます。それは大変です。パーキンソン病治療薬は、飲み間違いなどで足りなくなったから2、3日我慢しましょう!などということができるほど“やわな薬ではありません”。

今、薬剤師会では、災害時に備えて2週間分余計に薬をもっていることを推奨しています。

私たちの薬は少ないから避難所などで早く用意してもらえるのか?血圧や糖尿病の薬は被害が少なかった近隣地域に行けば入手できると思います。あらゆる薬局が取り扱っているからです。

けれど、パーキンソン病治療薬となると「脳神経内科」がある病院でなければ置いていないのではないか?と思います。避難所で1人か多くても2人のための運んできてくれるでしょうか?※各市に救援申請は提出していると思いますが。本当に今の時代、いつどんなことが起こるかわかりません!

最低でも1週間分は予備の薬を持っておくようにして下さい。私もドキドキしながら「あの~災害の…」くらいで、ひとまず1週間分予備を処方してもらいました。

災害、薬が剥がれた、体調不良で病院に行けない事だってあり得ます。薬の備蓄は必須ですね。ただ、消費期限があると思います。新しい薬を備蓄に回すようにしてください。

※忘れてはいけないのが『お薬手帳』。
パニックで上手く説明できなくても、今までの記録がのこっていますから。

テープ剤の一部だけが剝がれたときは、絆創膏のようなものを貼って剥がれないようにすることで対応すれば良いと思います。

3) 2021.08.24
パーキンソン病患者の悩みのひとつに『頑固な便秘』があります。それが夏になるとPD患者様も増々便秘の不安感が増していきます。
その理由に触れながら進めていきます。

🚽夏の便秘はPD患者のみならず、多くの人がかかえる問題のようです?

6月くらいから気圧の変化が大きく暑くなってきます。私たちパーキンソン病患者にはツラい季節。そう『頑固な便秘に拍車がかかる時期』なのです。

◆『隠れ脱水』に注意しましょう!

暑さに対する体の準備ができていないと、体調不良や{ 『隠れ脱水(脱水症になりかけているのに、気がつかず対策がとれていない状態)』になりやすいです。気温が高く、汗をたくさんかくと身体が脱水状態になり、便の水分量が少ない“コロコロウンチ”に!“便”を軟らかくするには“水分”が必要です。

◆エアコンで体が冷やされる。ただ、近年の暑さでエアコンなしで過ごせと言われると、余程風通しの良い家でない限り命に関わると言ってもオーバーではないですよね。でも自律神経は乱れます。薄い羽織り物やスカーフなどで冷風から身を守りましょう!

冷えると腸の動きが鈍くなります。⇒腸の動きが悪い⇒食欲がなくなる⇒食べないと腸の動きが増々悪くなるという悪循環に!!

私が便秘から抜け出せたのが『寝たまま腹式呼吸』この姿勢の方が上手くできます。前のPTに指導してもらいました。腸活にはgood!
私のブログ https://pd-ikiru.com/ でも便秘は取りあげています。腹式呼吸、便秘でブログ内検索してみてください!

本題の『お薬一口メモ』の今回のテーマは【便秘薬の特徴と注意点について】です。

❖慢性の便秘はパーキンソン病患者のうち大半の方で、早い時点から生じる症状。

◎2017年:「慢性便秘症診療ガイドライン2017(編集:日本消化器病学会関連研究会、慢性便秘の診断・治療研究会)」の制定。

◎そのタイミングで数種類の新薬の発売が開始されたこと。

上記の2点によって便秘という症状への対応がしやすくなったのです。


❖便秘の分類
…「器質性」と「機能性」にまず大別されます。そこから更に細かく分類され、治療法や処方される薬剤が決まるので    。

◆◆◆便秘はツラいですよね。でも、“まず!お薬”にはチョッと待った✋◆◆◆

①十分な水分を摂取し、食物繊維に富む食事を心がけましょう。1日に摂取する水分量の目安は、20~25mL/kgとされます。こちらの数値で即どのくらい飲めばいいのかが分かる人は少ないかも…。

計算式:必要水分量 = 体重(kg)×40

水分蒸発量 = 体重(kg)×15+200×(体温−36.8)

成人が1日を過ごすのに必要な水分は約2.5リットルと言われています。そんなに多いの!と思ってしまいました。食事から:1リットル体内で作られる水: 0.3リットル飲み物から:1.2リットル

果物、海藻などに多く含まれる水溶性食物繊維、きのこや玄米などに多く含まれる不溶性食物繊維があります。水溶性食物繊維は腸内で水分を吸収しゲル状となり、便を軟らかくします。一方、不溶性食物繊維は、水に溶けないため、便のかさを増します。また、食物繊維を摂取することで腸内細菌のバランス、腸内環境を整えます。便の約30%は腸内細菌なんです!最初から薬に頼らず、まずは腸の中を“自然なお通じ”のための環境に整えましょう!


それでもダメなら💊の出番です!


【便秘薬の分類と特徴】

①浸透圧性下剤について

●酸化マグネシウム(商品名:マグミット):塩類下剤

❖酸化マグネシウムは、併用薬物との相互作用が多く、レボドパの作用を減弱します。←気になって主治医に質問しましたが『そこまで気にするほどではないと思いますよ』だけでした。

●ラクツロース(商品名:モニラックほか):糖類下剤

※いずれも浸透圧効果によって腸管内の水分量を増加させ、便排出を促進します。


【刺激性下剤】

いわゆる“便秘薬”です。腸管運動を亢進することによって便の腸管通過を促進します。代表的なものにセンノシド(商品名:プルセニド)などがあり即効性です!

私は、あまり便秘の経験はありません。ただ年に一度会社で行われる“健康診断”。バリウムは一応義務付けられてました。体の中にバリウムが残らないように“下剤”が2錠渡されます。皆さんも経験がおありかもしれません。マグミットは自然のお通じに近い感じでトイレに行くことができます。ところが便秘薬に関しては、腸の蠕動運動を促しますから“とにかくお腹が痛い!!!”。長期的に使うには体に負担がかかりそうです。難治性便秘を生じる恐れがあるとのこと!やはり“薬💊頼み”はほどほどに。

※便秘に慣れてしまうと、徐々にお腹の中に溜まっている大量の“ウンチ”にも慣れるみたいです。中には1週間溜めておいて。週末に下剤を多めに飲んで一気に出すという“強者も(良い子はマネしないでね)”

※そんなことを数年続けていると下剤が利かなくなり、浣腸に…と進み、嫡便(てきべん)になってしまいます


  1. 【分泌促進薬】
    聞き覚えがあるかもしれません。ルビプロストン(商品名:アミティーザ)はこの分類です。プロスタグランジンE1様の作用により、リナクロチド(商品名:リンゼス)はグアニル酸シクラーゼ受容体Cを刺激することにより、それぞれクロライドチャンネルを刺激し、水分分泌をもたらします。

    便秘症に用いられる代表的な漢方薬
    作用強度は、大建中湯<麻子仁丸<大黄甘草湯の順となります。麻子仁丸の作用は、分泌促進薬の作用と,大黄甘草湯の作用は、刺激性下剤の作用と似ています。長期連用には注意を要します。

★ただ、頑なに「薬は毒だ!」と主張される方もおられるかもしれません。けれど、“便”など体に溜めても何の得にもなりません。主治医やかかりつけ薬局と相談しながら自分に合った『便秘解消を助けてくれる薬』を探してみてはいかがでしょう?そして、徐々に本当に徐々に飲まなくても定期的な排便があるように腸活しましょう!
※できれば時間を確認すること以外の目的でスマホを持ち込んだり、本を持ち込んだりしない方が、私は良いと思います。決まった時間やアッ!来るかなと思ったらキチンとトイレに行って集中しましょう!